離婚が成立した場合の戸籍の変動は以下のとおりとなります。
1 離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をした場合
婚姻により氏を改めなかった者(現状では夫のことが多い)は、離婚後もそのまま戸籍にとどまり、戸籍の変動はありません。婚姻により氏を改めた者(現状では妻のことが多い)は、離婚の届出と同時に婚氏続称の届出(戸77条の2)をした場合には、ただちに離婚の際に称していた氏で新戸籍が編製されることになります。新戸籍編纂と同時に元の戸籍からは抜けることになります。新戸籍の本籍をどうするかは、婚姻により氏を改めた者が自由に決めることができます。
2 離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をしなかった場合
婚姻により氏を改めた人は、婚氏続称の手続きをとらなければ、離婚をすると婚姻前の氏(旧姓)に当然に戻ることになります(これを「復氏」といいます)。離婚により氏を改めた者は、原則として、婚姻前の戸籍に入ります(戸19条1項本文)。親の戸籍であることが多いでしょう。ただし、①婚姻前の戸籍が既に除籍されているとき、又は、②復氏した者が新戸籍編成の申出をしたときには、新戸籍が編製されます(戸19条1項ただし書)。②の新戸籍編製の申出は、離婚届に婚姻前の氏に戻る者の本籍を記載する欄がありますので、そこに記載をすれば自動的に新戸籍が作成されます。本籍をどこにするかは自由に決めることができます。
もっとも、婚姻以前の戸籍(親の戸籍)に入籍した後でも、自分一人の新戸籍を作ることもできます(分籍といいます。)
3 一旦婚姻前の戸籍に復籍した者が、事後的に婚氏続称の届出をした場合
婚氏続称の手続は離婚の日から3か月以内であればできますので、一旦旧姓に戻したけれども、事後的に婚氏続称の手続をとる場合もありえます。①届出人が復籍後の戸籍の筆頭者でないとき、又は、②届出人が復籍後の戸籍の筆頭者であっても、その戸籍にほかの同籍者があるときには、新戸籍が編製されることになります
要するに離婚による復籍後の戸籍に自分一人だけが記載されている場合には、新戸籍は編製されず、戸籍の筆頭者氏名欄の氏が婚氏に変更されることになります。