変更の手続

離婚の際に未成年の子どもがいる場合には、父母の合意で親権者を定めることができますが(離婚届に親権者の記載欄があります)、離婚後は、一度親権者を決めてしまっているので、当事者の協議や戸籍の届出だけではできず、必ず調停・審判によって行う必要があります。親の都合で親権者がコロコロ変わってしまっては、子どものためにならない場合も多くあるからです。
手続としては、いきなり審判申立ではなく、基本的には調停から開始します。調停手続を利用する場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、親権者変更調停を申し立てます。
話合いがまとまらず調停が不成立になった場合は、何もせずともそのまま審判手続が開始され、裁判官が、審判をすることになります。ですので、調停を申し立てれば、相手方が出頭しないなど話し合いに応じない場合であっても、最終的には裁判所が何らかの判断をしてくれることになります。
なお、子自身には調停・審判の申立権はありません。

変更の基準

審判においては、親権者の養育監護の現状に明らかな問題がある場合(ニグレクトなど子どもの世話をまったくしていない、暴力行為があるなど)は、変更が認められやすいですが、特に問題がなく、監護の現状の変更を伴うことになる場合は、継続性の尊重という観点から、親権者の変更は認められることはほとんどありません。この点、子どもの健全な成長を助けるという観点が重要で、親の都合だけでは変更は認められないからです。実務上は、親権者の死亡・行方不明、両当事者の合意がある場合などの事案において、親権者変更が認められる例が多いです。