養育費負担の始期、終期

①始期については、基本的には請求(調停、審判の申立)の時からになります。ただ、過去の養育費について、交渉で相手方に対して支払いを求めることは可能ですし、相手方が支払うことを了承すれば問題ありません。
 このように、交渉や調停の場合は相手方と合意ができれば、過去分の養育費の支払いを受けることも可能ですが、審判では調停または審判申立時からしか認められないのが通常です。

②終期については、高校を卒業してすぐ就職することが明らかであるとか、大学に進学させる予定がある場合を除き、通常は、成年に達する月を終期とします。この点、成年の年齢が18歳になったことにより、今後は18歳に達する月までとなりそうですが、法律上、成年の年齢が引き下げられたからといって、実際上の養育期間が短くなるわけではありませんので、実務上の運用としては20歳に達する月までとされることが多いでしょう。
 終期の事例としては、18歳に達する月まで、20歳に達する月まで、大学卒業時までとする例が多いです。大学卒業時までとする場合は、両親の学歴(双方大卒である)や収入・財産などを考慮して決めることが多いでしょう。審判では20歳までとすることが多く、大学卒業時までとすることはまずありません。

□養育費の増減額請求

 支払いを請求する側または支払いをする側の養育費取決め時の事情が変化した場合には、相手方に対して養育費の増減額請求ができます。交渉または調停では相手方と変更後の金額で合意できれば問題ありません。交渉の場合は、新しく公正証書を作っておいたほうがよいでしょう。
 審判の場合は、裁判所に認めてもらうためには、一定の期間の経過と相当程度の事情の変化があったことが必要となります。養育費の増減額請求で考慮される事情には次のものがあります。増減額を請求する側がこれらについて主張・証拠の提出(あるいは相手方に証拠の提出を求める)をすることになります。
①父または母の再婚、それによる新たなる子の出生
②父母双方の職業の変更と収入の変化
③社会的地位の変化とこれに伴う収入支出の増減
④病気
⑤養育費支払いの対象である子の成長、就職
⑥その他、当事者を取り巻く社会的状況、経済情勢の変動など諸般の事情の変化が生じた場合
⑦養育費を取り決めた時の交渉の経緯(慎重な交渉がなされたか、公正証書が作成されたか等)も考慮されます。